揺れ動く、大学入試制度

「現在の大学入試センター試験に代わって、2020年から「大学入試希望者学力評価テスト」(仮称)が導入される。文部科学省の専門家会議が3月にまとめた最終報告によると、マークシート式に加え、考える力や表現する力をみる記述式の問題を国語と数学で一部導入する。一方、改革の目玉だった年複数回の実施や、教科の枠を超えた「合教科」の新設などは当面見送られた。知識偏重や一発勝負からの脱却を掲げた中教審の答申から大幅に後退した。

(北海道新聞 2016年4月18日15面より引用)

 

さて、現在の中学2年生の学年から大学入試センター試験の仕組みが代わるのですが、先月の道新に興味深い記事が出ておりましたので紹介いたします。制度詳細については割愛いたしますが、お子さんはもちろん、それを見守る保護者さんにとっても入試制度が定まらないというのは、不安になるのではないでしょうか。今回は、詳細が決まっていない中でも変更点をふまえて、意識してほしいポイントをまとめました。

 

▼教科書内容から出題されるという原則


センター試験は、教科書内容から出題されます。したがって、同じく教科書内容から出題される定期テストで得点出来るようになることが、センター試験対策の一歩目となります。ただし出題範囲の広さや教科数の多さが違うので、より長い期間で学習計画を立てたり、高3になる前に対策を始めたりするなど、工夫をしなければ消化不良の状態で本番を迎えることになってしまいます。

まずは定期に向け3ヶ月の学習計画を立て、滞りなく実行できるようにすることがスタートです。決めた期間の中で目標に向けて勉強するという訓練になります。そして、高2の冬あたりから受験を想定して、1年かそれ以上の広い期間の学習計画を練るようにしましょう。この頃には、1年間という広いスパンでも勉強し続けられるタフな精神力を身につけておいてほしいと思います。

 

▼考える力は基礎力に裏付けられる


考える力とは、”培ってきた知識を組み合わせて、新しい発想を生み出す力”だと私は考えています。つまり、考える力が必要な問題が出題されるならば、その問題を解くためには発想を生み出すための基礎力を充実させておかなければならないのです。

最近のお子さんは、復習をしたがらずに先へ進みたがる、という傾向があります。基礎力の充実というのはただ基本の問題を解けるという意味ではなく、「速く・正確に」解けるというレベルです。10回解いたら10回合っている、10分かかっていたものが3分で解けるといったように、高いレベルを目指して2周・3周と問題集を繰り返し解くのです。例えば九九のように、考えなくても計算できる状態まで仕上げられれば、組み合わせて新たな発想を生むだけの余力につながってくるでしょう。

 

▼表現する力は、自分の考えを伝える力


表現する力のある子は、日頃の勉強から間違えることを恐れず、自分の考えを答案に書き出そうとします。逆に表現力の乏しい子は、自分の考えに自信がなく、正しい答えを見たり聞いたりしてから書き始めます。だから問題集には、丸ばかりつきます。傾向としては、幼い頃から目の前の結果ばかり求めたり、先回りして手助けをし過ぎたりすると小さくまとまってしまい、後者のような行動パターンになってしまいます。

間違えた・失敗した数が多いほど成長につながるという原則は、勉強に限ったものではありません。失敗から学び、過去の自分を超えようとするマインドが大切です。それを植え付けるべく、勉強という行為だけにとらわれず、日常生活の中からどんどん子どもの考えを引き出すことが表現する力につながります。ぜひ過程や挑戦しようとする姿勢を、積極的に褒めてあげてほしいと思います。

 

▼政府が掲げる「生きる力」とは


まとめです。今回の入試制度の転換は、「生きる力」、つまり「知・徳・体のバランスのとれた力」をバランスよく育てるという政府の方針に合わせて進められています。確かに今の時代は、仕事を与えられるのを待つのではなく、自ら仕事を作っていく時代に変わってきたように実感しています。10年後の大学卒業生の6割は、今は存在していない職業につくとも言われています。だからこそ政府が掲げるような、自分で未来を切り拓くだけの能力や行動力、思考力が不可欠だと思います。しかしこれらの力を伸ばすというのが、漠然としていて非常に難しいのです。

この伸ばしにくさの根底にあるのが、今までの知識偏重型の教育制度です。教える側も「生きる力」という漠然としたテーマに対し、子どもにどう勉強させれば伸びるのか、試行錯誤している状態です。保護者さんにおいても、自身が習ってきた勉強の成功体験の型を当てはめることができずに、きっと悩んでおられるのではないでしょうか。

これからの保護者さんの役割としては、お子さんの考えを引き出す、挑戦する姿勢を肯定する、人としてあるべき行動規範を示すなど、勉強以外のものが今まで以上に求められるようになるはずです。その役割は、学校や塾・家庭教師といった教育機関だけで担うことは到底不可能です。勉強の面については、我々が先頭に立ってリードしていきますので、共にお子さんの成長や成功を信じて、時代に合わせた教育に向き合っていきましょう。

 

(指導員 松浦)

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